今までに買ったレコード盤 - とんえぼ老人部 Advent Calendar 2023 day4

はじめに

この記事は とんえぼ老人部 Advent Calendar 2023 4日目の記事です。

696です。とんえぼ創設時からいるのにまだ現役生なのが不思議でなりませんでしたが、今年度末をもってついに現役を退く運びとなりました。というわけで老人部では新顔です。

実は一昨年あたりから、たまにレコード盤を買うようになりました。最近はほとんどサブスクで音楽を聴いていてCD音源を聴くことも少なくなりましたが、だからこそわざわざアナログレコードを回してじっくりと音楽だけを楽しむというのもなかなかに味わい深く、貴重な時間だと感じられるものですね。

というわけで、今までに買った数枚のレコードについて軽く紹介していきたいと思います。

Angel Tears in Sunlight - Pauline Anna Strom

こちらは80年代に東海岸で活動していた New Age/Ambient 系のアーティスト、Pauline Anna Stromの遺作となったアルバムです。

タイトルからも漂ってくる幻想的な雰囲気がメロディ、リズムの有機的な複合で表されており、彼女の作品を初めて聴く人にもおすすめの一枚です。

BandcampやSpotifyでも配信されており、BandcampではCDも販売されています。

Angel Tears in Sunlight - Pauline Anna Strom

私が買ったレコード盤は Clear Blue / White Vinyl というバージョンで、盤面が青と白の混じり合った大理石模様で半透明に透き通っています。(※Bandcampでは販売終了しています)

こういった特殊な色味の盤面のレコードは、音を聴くだけでなく回転中のディスクを眺めることで視覚的にも楽しめるのでお得です。

感傷に浸りたいとき、特に何もなくとも少し気分が落ち込んだとき、これを聴いて一時の幻想に耽ってみるのはいかがでしょうか。

Vacation Package - Bisk

日本人の Electronica 系アーティスト Bisk の最新アルバムです。

めちゃくちゃ音が良くて、初めて音源を聴いたときはビビりました。

Bandcampでデジタル音源もレコードも買えます。

Vacation Package - Bisk

洋の東西を問わず、古くから音楽には様々な理論が説かれてきました。しかし、現代の電子音楽の表現はその理論の中には留まらず、音楽という世界そのものを拡張し続けています。

このアルバムもまさにその一端を担うものだということが、聴けば分かるはずです。

Cracker Island - Gorillaz

世界を代表するカートゥーンバンド Gorillaz の8枚目のアルバムです。

Gorillaz といえばもはや説明不要だと思います。知らない?じゃあせっかくなんでこのアルバムを聴いてみてください。

様々なアーティストの音楽的衝動の集合体であった Song Machine, Season One: Strange Timez を経て、いつもの Gorillaz でありつつ、確実に歩を進めていることが分かるクオリティのアルバムだと思います。

個人的には Baby Queen と Skinny Ape がツボでした。

もちろん表題曲の Cracker Island も最高です。良い曲とめちゃくちゃ良い曲しか入ってません。

しかし Gorillaz のビジュアルも昔と比べるとだいぶ変わりましたね。

Plastic Beach の頃から見比べると Noodle の見た目とかもはや別人では?時間が経つのは早いものだ……。

梵楽 - 野流

二人組のアーティスト「野流」(やりゅう)によるアンビエントスピリチュアル・ジャズを基調とした作品(らしい)です。

彼らの活動に関してはリリース元のレーベルを主催するロックバンド「帯化」のnoteに詳しく説明されています。

最初は「梵楽」というタイトルとジャケットアートに目を引かれて手に取ったんですが、試聴したことで完全に惚れ込んでしまい購入を決めました。

スピーカーから1曲目が流れてきた瞬間、まさに自分の求めている理想のアンビエントと言えるものが眼の前に現れたからです。

激しい音楽ではないものの、とにかく鮮烈な音楽体験がそこにあります。

電子的なサイケデリック体験とは何か、音楽の有機性とは何か、真のアンビエント・ミュージックとは?

そういった疑問への答えがここにあると思いました。

皆さんもそういう体験をしてみませんか?

Plot Zero - Pauline Anna Strom

最初に紹介した Pauline Anna Strom が80年代に活動していた当時のリリースからのリマスター音源です。

このレコード盤は表題曲の Plot Zero のほか、4曲を収録した計5曲入りの LP になっています。

最初に紹介した Angel Tears in Sunlight も含めて、 Pauline Anna Strom の作品は幻想的でありながらも写実的な風景画のようでもあると思います。音色、メロディ、リズムのどれもが精緻で繊細だからこそ、ひとたび聴けば風景までも映し出すような真実味を帯びた音楽になっているんでしょう。

ところで Ambient とはラテン語の ambiēns (逍遥する、両側から囲い込んでいる)から来ています。

彼女の作品がもたらす没入感はまさに音楽の中の風景を"逍遥している"かのようです。

周波数レコード - 東洋化成株式会社 ディスク事業部

東洋化成株式会社 レコード事業

このレコードは音楽作品ではありません。テスト用のサイン波やクリック音がいくつも収録された、音響機器の状態をチェックするためのディスクです。

が、なんか卓球の音とかトラックの音とか入ってます。B面の終わりのほう(中心近くの部分)にはサイン波の周波数を細かく変化させて作られた模様も彫られています。

卓球の音はずっと聴いているとなんだか不思議な気持ちになります。

左右からカコン、カコン、とラリーが続く音が流れ続けてくるだけですが、得体の知れない没入感があって何らかのアンビエント作品を聴いているかのようです。

これは音楽作品ではないものの、より良い音で音楽を聴くためには必須のアイテムと言えるでしょう。

ちなみに私が普段作曲をする際に使用している Eve Audio SC203 では低周波のテスト音が100Hzあたりから聞こえませんでした。

出力音量の小ささとスピーカー自体の小ささからどうしようもないことではありますが、自分の再生環境はまだまだだと言われているようでなかなか悔しいです。

あとで Pioneer S-X950V を使ってもう一度聴いてみようと思います。

おわりに

自分はまだまだレコード盤を集め始めたばかりの初心者なのでこれくらいしか持っていませんが、これからも少しずつ集めていこうと思います。

ちなみに、今月末に発売予定の結束バンドのアナログ盤も予約しました。

結束バンドはCDも持っていますが、レコード盤のマスタリングがどうなっているかがすごく気になります。

それに、やはりレコード盤で音楽を聴く体験は、CDやストリーミング配信でのそれには代え難い魅力を持っているものです。

普段は音ゲーマーとしてゲームで音楽を擬似的に演奏したり、サブスクリプション音楽配信サービスで大量消費的に様々な音楽をつまみ食いするように聴いているからこそ、わざわざディスクをプレイヤーに置き、針を落として腰を据えて音楽に耳を傾けることでゆったりと流れていく時間に身を任せることの意義を感じられるんだとも思います。

皆さんもたまにはレコード盤を回してじっくりと音楽の世界に浸ってみませんか。